投資女子は孤独死が怖い

元営業OL。新米ママに戸惑うクソ女の独り言。

愛情を知る上で、ラブレターは最大のアウトプットなのかもしれない

今週のお題「あの人へラブレター」

 

今週のお題がラブレターという事で、ふと思い出した事を書こうと思う。

 

ラブレターって皆さん書いた事がありますか?

私はあります。

 

そのラブレターは相手に渡す事は無かったけども、先生に提出しました。

 

 

 

何故なら、高校の時の授業でラブレターを書くという

一風変わった課題があったからです。

 

私が行っていた高校は公立の普通科なのですが

少し変わっていて「単位制」を導入していました。

 

必修授業はあるけども、必修以外は自身で選択して卒業単位を取るという。

なんちゃって大学的なシステムが導入されていたわけです。

 

完璧に遊び呆けていたので、卒業間近に単位が足りない事が発覚し

先生方が怒涛の追試の救済処置をしてくれて

ギリギリのところで無事に3年間で卒業できたのは悲しい思い出。

 

そんな高校生活で

3年次に名前の感じ的にラクそうという理由で取った「国語表現」という授業。

必修では無く、選択授業の1つだった。

 

 

その授業で「ラブレターを書く」という課題を出された。

 

 

ラブレターって授業で書くもんじゃないだろう!!!!

 

と当然生徒達から反感を買ったのですが

「単位いらないなら、出さなくていいよ」というパワーワードが発動されて

皆が頭を悩ませる事になった。

 

 

最初の、課題ラブレターに対しての生徒たちの反応は

 

「ちょ、それセクハラじゃないですかw」

「ラブレターなんて超ハズイじゃん!!!」

「先生が赤面するくらい熱い内容書いてやるわww」

「恋なんてしたことねぇし」

「非リアに対する冒涜」

リア充案件、ふざけんな!!」

「嫁はいるので余裕です、二次元だけどな」

 

という、恥ずかしさもあり、ふざけたものだったが

ラブレターを書く上での条件を聞き、皆無言になったのは今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

以下が、ラブレターを書く条件だ。

 

前提

・現状での恋愛感情の有無は問わない

・過去の想いであっても現状の相手に向けて書くこと

・提出する為の第三者に向けたものでは無く、相手に向けた手紙形式で書くこと

 

相手の条件

・実在する人物である事

・芸能人、著名人はNG

・1度は実際に会った事がある相手である事

・性別は問わず

・友愛で無く、恋愛感情がある相手である事

・相手の状態・立場は問わない

・自分と相手の関係性は問わない

 

内容の条件

・相手の名前は実名でも匿名でも可

・現在の、相手と自分の関係性を明記すること

・現状で、相手は自分をどう思っているかの予測を書くこと

・恋愛感情を覚えた時のエピソード、その時の気持ちを書くこと

・恋愛感情を覚えてから自覚してなかった時と比べ、自分の気持ち・行動の変化を書くこと

・恋愛感情が膨れていった経過を書くこと

・相手の好きな所を3つ以上明記する事

・自分にとって相手が他の他人と比べ、なぜ特別なのかを明記する事

・今、自分が相手に伝えたい事を書くこと

 

抜けてる事や言い回しが違う所もあるかもしれないが、大体こんな感じだった。

 

 

上記の条件を満たさないと減点。

相手の条件を満たさない場合は、再提出。

提出期限は半年後まで。

 

 

あれ、思ってたラブレターと違う。それが感想だった。

 

当時、彼氏がいた私は「まぁ適当に彼氏宛に書けばいいか」と思って

彼氏を思い浮かべながら次々追加される条件を聞いていた。

 

 

しかし、条件が発表されるごとに気づかされた。

 

今の彼氏には、このラブレターは書けないと。

 

 

 

条件を言い切った先生が、最後に言った言葉

 

「恋愛なんてした事が無いと思ってる人もいるだろう。

自分は恋愛していると自負がある人もいるだろう。

 

今、書く相手が思い当たらない人は

過去を遡り、この内容がかける相手がいないかを考えなさい。

今、恋人がいる人は

今の恋人にこの内容が書けるのかを考えなさい。

 

もちろん、この課題の為に好きな人を探してもいいでしょう。

 

なお、例えばこれがキッカケで恋人と別れる事になっても

先生は責任は取りません。

 

 

これは雑談ですが、先生は結婚をしていて子供もいます。

子供は血の繋がりはありますが、嫁は婚姻関係を解いてしまえば他人になります。

 

何を持って他人を好きになるのか、他人と一緒に居ようと思うのか

みんなに取って、他人と向き合ってみるキッカケになれば幸いです。

 

一番向き合いやすいのが、恋愛感情だと思いラブレターという形にしてみました。

 

友愛と恋愛は何が違うのでしょうか。他人を愛するってどういう感情なのでしょうか。

 

受験勉強なども大事ですが

課題を頭にいれ、しばらく生きてみて下さい。

先生がどんだけ意地悪なのかわかると思いますよ。

 

もう書けるという人は、来週の授業から提出を許可します。

ただ、提出期限を伸ばす事はしません。」

 

 

当時40代の男性高校教師が、高校3年生のガキんちょ達に出した課題は難解だった。

先生の言葉を理解することはできなかった。

 

もちろん、 次の授業までに課題を提出できた強者はいなかった。

 

 

 

 

やりたい盛りの、恋愛したい盛りの高校生。

また、mixi、モバゲ、前略プロフィールの流行りの世代で

ネット上で知り合い付き合う事も普通になっていた世代だ。

 

あいのりが流行っていたのもあり

恋愛はちょっとしたブームの1つでもあった。

 

 

告白されたから、付き合ってみる。

嫌いじゃないから、付き合ってみる。

恋愛をしてみたいから、付き合ってみる。

恋人がいる方がいいから、付き合ってみる。

 

見た目が好みだから、好きになる。

人気者だから、好きになる。

優しいから、好きになる。

波長が合うから、好きになる。

 

なんかしら、付き合う・好きになるキッカケは理由はあったと思う。

ただ、掘り下げて考えたことなど無かった。

 

雑な恋愛の方が多かった。

これが結論なのだろう。 

 

 

そもそも、大半の生徒たちは

ラブレターを書くと言われ、想像したのは

 

・告白する

・付き合ってる相手に再度想いを伝える

 

そのくらいの認識だったのだ。

そんなに条件は付けられるのかと、呆気に取られても仕方ない。

 

 

ラブレターを書く上で、条件をヒントに自分が持つ他人への想いを確認してみよう。 

これが先生からの挑戦状だった。

 

 

 呆然とするガキんちょ共を尻目に

授業終わりに先生はニヤッとして、つぶやいた。

 

「やっぱり、雑に生きてる奴らばっかだったな。

ラブレターの評価がAなら、無条件に5付けてやるよ。」

 

そう、こういう先生なのだ。

授業中は丁寧なのにチャイムが鳴り終わると、雑な言葉で毒づいて来る。

だから、生徒からの評価が見事に真っ二つな先生でもあった。

 

 この先生とのエピソードは、だいぶ話が脱線してしまうので別の記事にて。

 

 

 

当時の私は、そこそこの恋愛経験はあった。

今まで付き合った人は3人。

振られたけども、中学生の時に1回告白した事もある。

 

だけど、私は今まで好きになった人全員にこのラブレターを書くことはできるのだろうか。

書けると答えることは出来なかった。

 

 

当時の彼氏は

中学時代に塾が一緒だった他校の同い年。

通学中の電車で再会し、何度か二人で遊ぶうちに彼から告白されて付き合うことになった。

確か、課題が発表された時には付き合って半年くらいだったと思う。

因みにこの彼氏が私の初体験の人でもある。

 

 

それなのに、書けなかったのだ。

 

正確にいうなら書けなかったのではない。

 

書くことは出来たのだ。

ただ、それはあまりにも薄っぺらいB級のラブソングみたいになってしまった。

 

彼だから好きなのでは無い。

自分を好きでいてくれて、他の女と差別化してくれてるのならそれでいい。

彼がそう思ってくれてるなら、私もそうする。

 

そんなラブレターとは言い難い文章が出来上がった。と当時の私は思っていた。

 

三十路の今の私には、それを恋愛していないとは思わない。

自分の事を大事にしてくれる人を大事する。

それは悪いことでも、間違っていることでも無い。

大いに結構なことでないか。

 

 

しかし、当時の私にはそう思えなかったのだ。

若さゆえの考えだと思う。 

 

その課題が出た2か月後には、当時の彼氏とお別れしてしまっていた。

同時に課題の事は半分忘れかけていた。

 

 

特にその事ですごく悩んでいたわけでは無いが

ふと過去を振り返ってみたタイミングがあった。 

どんなタイミングだったかは、思い出せないけども特に特別なことはなかったと思う。

 

彼以外を好きになるのは考えられないと思っていた人は存在していた。

ただひたすら好きになれた人がいたのを思い出せた瞬間だった。

 

 

その人に対しての書いたラブレターは自然と条件を全てクリアしていた。

 

書き終えた時に、ちゃんと私は他人を好きになれていたと思えて嬉しかった。

そして、同時に矛盾も覚えた。

 

そんな恋愛をしていたのに忘れてしまっていた事。

その人より好きだとは思っていない相手と付き合って初体験までした事。

 

矛盾に気づきはしたが、気づかないフリをした。

 

そのラブレターを書き終え、提出した時は期限のギリギリになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

通常の課題は、採点を終え返却される時

みんなの前で総評を受け返却された。

 

ただ、ラブレターの課題だけは先生が個別に呼び出し返却されていた。

また、誰が提出していて誰が提出していないとは発表されることはなかった。

「提出しなかったら、どうなるかはわかってますよね?」とだけは釘は刺されたけども。

 

 

提出した2週間後に放課後に教室でダラダラしていたら

たまたま、先生が教室に顔を出し

「ちょうどいいから、暇してるなら来い」と呼び出しをくらった。

 

個別に呼び出して返却されることは公表されていなかったので

「なんか呼び出されることしたっけな」

くらいの感覚で国語科の教員室まで付いていった。

 

 

先生が返却時に言った第一声は

「この手紙は、相手に渡さないのか?」だった。

 

恥ずかしくて渡せるわけが無い。

強いて言うなら、渡さないという前提だから書けたものだ。

とふざけ半分で笑いながら返答した。

 

 

先生は「もったいないね」とつぶやき

提出したラブレターとラブレターの総評の紙を返却してくれ

総評は暇な時にでも読んでくれとすぐに解放してくれた。

 

 

妙な恥ずかしさもあったので

その総評に目を通したのは数日経過してからだった。

 

 

 

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総評 A

 

私の個人的な考えになりますが、ラブレターには

自分の為のラブレターと相手の為のラブレターの二種類があると思っています。

あなたの書いたラブレターは後者でしょう。

 

この手紙は相手に渡すことをお勧めします。

 

人が生きていく上での、永遠の敵は孤独です。

永遠に孤独と戦わなくてはいけません。

 

どんな形であれ、どんな期間であれ

愛されていたという事実は、終わることの無い戦いへの強い支援になることでしょう。

 

あなたが真剣にこの課題に取り組んでくれた事に私は嬉しく思います。

 

ただ、渡す前には相変わらず誤字と脱字が多いので再度チェックを入れましょう。

無駄な接続詞が多く、推敲の甘さも見受けられます。

 

 

 

先生らしい総評だった。

意味が分からない。

総評の意味は当時理解できなかった。

でも、予想していた総評と全然違うものだったから記憶に残った。

 

当時の総評を読んだ感想は

なんかよくわからんが褒められてはいる。

ただ、相変わらず毒づいてくるな。

 

書き終えた事に満足感を得ていたので総評を深く考えることはしなかった。

Aという評価も、今まで出してきた課題で何度か取れていたので

やったね!くらいの軽い捉え方だった。

 

この授業の最後の授業で

ラブレター課題でAを取ったやつは、全体で2人しかいなかった事を知るのだけども。

 

 

 

今週のお題「ラブレター」という文字を見て、ふと思い出したことが

意外と鮮明に思い出せたことに自分でもびっくりしている。

13年も前の事なのに。

 

今まで付き合ってきた人や好意を持った人達にラブレターを書くとしたら

私は何人にかけるだろうか。

 

三十路になった今でも恋愛の正解はわからない。

でも、ラブレターを書くという行為は

自分の思っている恋愛の輪郭は見出せるものなのかもしれない。

 

書いてみようかな。

残念ながら現在は、元カレや好きだった人宛にしか書けないけれども。

 

ただ、今は少し先生の総評の意味は理解できるかもしれない。

 

 

人が生きていく上での、永遠の敵は孤独です。

永遠に孤独と戦わなくてはいけません。

 

 

先生は女子高生の拙く青臭いラブレターに

何を想い、この言葉を贈ったのだろうか。